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本格的活動に入るとなって、会長の口利きでモデル事務所を変えた。
今は雑誌の仕事と、会長が社長勤めるアパレル会社の20歳代ターゲットの男性カジュアルブランド『SARAI』の専属モデルをしている。
普通は洋服だけ着ればいいんだが、トータルコーディネートとかなんとか言って下着まで展開しているので下着モデルまでやっている。
「普通はガタイのいい外国人モデルとか使うんじゃないのかなぁ~」
「おい、理玖。お前はウチの専属だろ?」
「だってさぁ~、下着モデルってマッチョの方がいいでしょ。いくら鍛えてるからって俺の腹筋でいいの?」
「買うのは日本人なんだし、お前くらいの歳なんだから外人よりイメージつきやすいだろ」
「そうかなぁ。俺のせいで売り上げ悪くなたって知りませんよ」
「そしたら返品は、お前に全部送ってやる」
「俺に送んないでくださいよ。舎弟のみんなに配ればいいでしょ」
「おい、理玖。それは禁句だぜ」
「あっ・・・そうでした。すいません」
たぶん会社の人間もみんな周知の事実だろうが、この会社では社長・雷文虎太郎は堅気の人間ということになっている。(そう思っているのは本人だけじゃないかと思うけど・・・・)
会社では一応、この人の息子且つ専属モデルという立ち位置だ。
皆、社員はただの専属モデルとは言えない待遇で迎えてくれる。
「今回はお前が企画に参加してみないか?新ブランドの立ち上げにも絡んでほしいんだが・・・・」
「えー、高校生の俺が?」
「お前はセンスもいいし、高校生とは思えない風貌だし・・・・近頃、街に夜な夜な出ているみたいだからいいものいっぱい見てるだろ?」
「ひとを遊び人みたいに言わないでくださいよ」
「聞いたぞ。お前新しい彼女作ったんだって?」
「・・・・・くそっ、誰がそんなこと言うんだか」
「俺の目は千里をも見透かすってな」
「超能力者ですか。でも別にまだ付き合ってるわけじゃ・・・・」
「そんなこと言っちゃうのか?相手の子可哀想だなぁ~」
「誰でも喰っちゃう貴方に言われたくないですよ。ただ彼女って感じにならないだけで・・・・」
「まだ傷心は癒えないのか」
「当たり前でしょ」
「ふーん」
意味ありげにこちらを見て嗤う会長はそれ以上は聞いてこなかった。
もちろん忘れることなんかない。
組を離れても、一人になると彼の事ばかり考えてしまう。
彼の事を考えると、右足太腿に入れたタトゥが疼くような気がした。
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