無重力の砂時計

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すると七生が黙り込んだ。 そんな間をおかれると余計心配になるではないか。少しくい気味に七生に質問を浴びせた。 「”赤龍”と何かいざこざがあったのか?抗争とか?」 「いえ、そうではないのですが・・・・この頃、ふと我々も見失うことがたびたびあって・・・・この非常時に何をされてるのか・・・・・困っています」 「いなくなる?何やってんだよ!そんな時にヤツラに狙われたら・・・・」 「そうなんです。兄さんたちとも協力してやっているんですが・・・・昨日も急に車を降りて街に消えられて・・・・」 どういうことだろう。 舎弟たちにも話せない秘密を抱えているのだろうか。 ”赤龍”の動きが活発になり始めた今は命取りになりかねない。 「とにかく兄ちゃんから目を離すな」 「あれ?そう云えばりっくんの用事をお聞きしていませんでしたが・・・・」 「ああ、俺の方は・・・・身辺に極道らしい人物がちらほら見えたから・・・・やっぱ”赤龍”だな。俺も身辺気を付けるよ」 「そうですね。りっくんは足抜けされたから、俺たち護衛の者もついてませんし・・・・組長の弟君であることは間違いないわけですから・・・・」 「まぁ露出の多い仕事してるし、調べればモデルの『RIKU』が雷文の弟だってバレちゃうからな」 「先週発売の【メンズ・レント】見ましたよ。下着モデルもされてるんですね~。腹筋キレてましたよ」 「やだなぁ~、見るなって。ジム行ってもあの程度しか作れないんだからさ。もう少しストイックにやらないと外人モデルみたいにならないよな」 「いやぁ、見事でしたよ。18歳なんて見えません」 「サンキュー」 「仕事、順調なんですね」 「おかげさまで。あと少しで卒業だし、その後はもう少しストイックにやるつもりなんだ」 「本当にもう帰ってこられないんですね」 「兄ちゃんに破門されちゃったからね~」 「組長もりっくんがいなくなってから様子がおかしいんです。俺たちはりっくんが居てくれないと組長ダメになっちゃうんじゃないかって・・・・」 「ハハハ・・・・バカだな。あの人はそんな軟な人じゃないよ。それに俺がいるとイヤだって追い出したんだぜ。今更戻ったところで何か変わるわけじゃねぇよ」 「そうですかねぇ。なんだか心ここにあらずみたいな感じで・・・・今回の件も”赤龍”にしてやられた感じで・・・・・組長は怒っておられるけど熱がこもってないと言おうか・・・・」
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