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「ねえパパ」
「なんだい」
「なんで青空はアオゾラっていうのかな」
「それは青いからだと思うよ」
「ふーん」
「ねえ」
「なんだい」
「なんで夜空はヨルゾラっていうのかな」
「ヨルゾラ、じゃないよ、ヨゾラ、だよ」
「なんで夜空っていうのかな」
「それは、夜のお空だからだと思うよ」
「でも青いから青空なら、夜の空は黒空じゃないとおかしいよ」
「クロゾラ……」
「うん」
「それは……ほら、青空を描く時はみんな青い色を使うだろう?」
「うん」
「でも、夜の空を描く時はどうだい」
「ぼくは濃い青をつかう」
「ね。濃い青を使う人もいれば、紫や焦げ茶を使う人もいるだろ、もちろん黒を使う人もいるけどね。みんながみんな夜空が黒いと思っていないから色では呼べないんだよ。きっと」
「ふーん」
「ねえ」
「なんだい」
「なんでパパとぼくは、ママを置いてお空にいかなくちゃいけないのかな」
「パパにもよくわからないけど、どうやら一緒に乗っていたバスが道からおっこちてしまったみたいだね」
「ママが泣いているよ」
「うん」
「一緒に行きたいな」
「パパもそう思う。でもね、ママを一緒に連れて行ったら今度はおじいちゃん、おばあちゃん、おじさんやおばさん、ママのお友達がみんな泣くことになるんだ」
「じゃあ、みんなで一緒いけばいいよ」
「みんなの周りの人たちが泣くよ」
「じゃあ、みんなのみんなでいこうよ」
「そうだね。いつかみんなも呼ぼう。でも、いまはふたりでいこう」
「なんで?」
「だってはじめて二人だけで旅行にいく途中だったじゃないか。はじめてのパパと二人だけの冒険をやめるのかい」
「ふたりだけの冒険」
「そうだよ」
「うん」
「さあ、そろそろいこう」
「ねえパパ」
「なんだい」
「これからいくお空ってナニゾラかな」
「パパはアオゾラがいいな」
「アオゾラがいいね」
了
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