3人が本棚に入れています
本棚に追加
第8章 流れの行方(続き)
~ * ~
……さん。
遠くの方で声がする。しかし、
「中谷さん?」
次の瞬間、はっきりと背後から掛けられた声に気付き、
慌てて那々は振り返った。
「は、はいっ」
「大丈夫? どうかした?」
そこには、パティションの向こうで立ち上がる立花の怪訝そうな顔。
それでようやく、自分がちょっとトリップしていた事に気付いた。
「いえ、すみません。なんかぼんやりしてました」
すると、立花に小さく苦笑を浮かべられる。
「大きな山を一つ越えたからね。ちょっとホッとしちゃったかな」
だがそれに、今度は、那々が苦笑を浮かべた。
いや、仕事じゃないんだけど――。
最初のコメントを投稿しよう!