3人が本棚に入れています
本棚に追加
第9章 月夜の涙
木曜日の午前、エイオースの会議室では
新商品の紙袋デザインのミーティングが開かれていた。
「カラーコンセプトの『曙』を引き立たせるため、
ショッパーの方は、夜空をイメージしてみた」
デザイナーが、持参したデザイン画をテーブルに広げた。
それは、漆黒の地にエイオースのロゴが描かれたシンプルなもの。
しかし、
「これ、角度によっては、ただの黒い袋。
でも、手に提げて揺れていると、
なんとなくこのロゴが星の瞬きみたいに光るんだ」
そして印刷会社への注文として、
いくつかの技法と、使用を希望する素材が伝えられる。
しかも今回は余程に自信があるらしく、
彼は、この一枚しか持ってきていない。
そして、「どうだ?」と尋ねられた立花は即座に首を頷けた。
最初のコメントを投稿しよう!