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「俺は、もう文句のつけようがないと思う」
そして、自信を持って上司に報告すると請け合った。
だが、デザイナーは、そんな友人を前にやっぱり那々にも聞いてくる。
「君は、どう思う?」
えっ……。
別に、話を聞いていなかったわけではない。
しかし、目の前の男の事も含めて色んな事が頭の中で絡まって、
仕事の事が、少しばかり隅に追いやられていたのは事実。
だが、にわかに言葉を詰まらせた彼女に、デザイナーが微笑んだ。
「『タラシの匂い』を引き立てられてる?」
不覚にも、またしてもドキッと胸が跳ねた。
それどころか、心なしか彼の微笑みが今までよりも優しく温かく見える。
意識し過ぎだって!
そんな自分の内側を隠すように、那々は思いっきり頷いていた。
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