第9章  月夜の涙

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エ、エスパー……? 実は今夜、直之と会う約束をしている。そして、 「と、とんでもない!」 不意打ちと驚きに、必要以上に力を込めて断った。 「そう? でも、どうせ料理は大皿ものだろうから遠慮はいらないよ。 まぁ、気が向きそうなら誘ってきて」 だが次の瞬間、あの撮影所の時のように艶を帯びた微笑みを向けられ、 焦った拍子に、答えがしどろもどろになった。 「いえ。あの……、い、いいんです」 しかし、この時の動揺を遥かに超える衝撃を、 この夜、那々は受けることになった。
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