第9章  月夜の涙

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うん。 頷いた直之は、まずは、自分の目の前のカップを口元に運ぶ。 そして、それをそっと一口ふくむと、「実はさ」と話しだした。 「今週の月曜にさ、ちょっとビックリする話をもらってね」 それは、例のいつも彼とつるんでいる先輩の助教授からもたらされたもの。 しかも、直之念願の助手へのお誘い。 「ちょうど空きが出来たみたいでね。 俺、あそこの教授とも何回もフィールドワークに行ってるから顔なじみで。 時々俺の、なんていうか意見とか発想も 興味深く聞いてくれてたりしたんだよ」 そして、数年ぶりに空いたそのポジションに直之の名が上がり、 教授も賛成してくれたらしい。
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