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「良かったじゃない」
これは、那々の素直な感想だった。
だから、笑顔にもなった。
しかしこの場合、彼にチャンスを与えるのは教授であり、助教授の先輩だ。
ところが、そう別の自分が小首を傾げた那々を前に、
直之は、再び唐突な事を言いだした。
「それでさ、那々にも、ちょっと協力してもらえないかと思って」
へっ?
那々は、思わず持ち上げたカップをそのままに、大きく彼を見返した。
「でも私、民族考古学なんて何も知らないよ?」
彼らの研究は元より、学問としてすら皆目分からない。
だが、直之が彼女に求めていたのは、それではなかった。
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