第9章  月夜の涙

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「そっちの方じゃないんだ。その、なんていうか、 別の意味で助けて欲しいっていうか、一緒にやりたいっていうか。 その……、結婚を……」 はっ? 瞬時には、この思いも寄らない言葉を理解できなかった。 だが直ぐにも、頭は目まぐるしく回り始める。 つまり、念願の助手になれるのを機に結婚しようってこと? そう思い至った時、向かいから言われた言葉に愕然とした。 「あのさ、助手の仕事は週に三回しかなくて、 残りの二日は、今まで通り大学の事務所で仕事が出来るんだけど。 でも、職員じゃなくてバイトってことになるから……。 その、色んな意味で一人より二人の方がいいなと思うんだ。 だから、いきなり結婚は無理でも、一緒に暮らさないかなと思って……」
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