3人が本棚に入れています
本棚に追加
じゃあ、なに。
私は、あんたの夢を追うための金ヅルってこと?
心と頭の中は言葉が乱れ飛び、
それに煽られるように微かに鼓動まで速くなっているのに
声が喉に引っ掛かって出てこない。
だが、その裏側で、ちょっと顔を赤らめる直之を見つめる彼女の耳に
あの男の言葉が蘇った。
『恋』って結局は、隠し切れないエゴじゃない。
そして、それを体感している那々は、どこもかしこもが小さく震えてくる。
那々は、そんな自分を抑えこむように大きく息を吸い込んだ。
「直之」
たった一つの深い呼吸が、にわかに彼女の声を取り戻させた。
「直之は、私のことどう思ってるの?」
最初のコメントを投稿しよう!