第9章  月夜の涙

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じゃあ、なに。 私は、あんたの夢を追うための金ヅルってこと? 心と頭の中は言葉が乱れ飛び、 それに煽られるように微かに鼓動まで速くなっているのに 声が喉に引っ掛かって出てこない。 だが、その裏側で、ちょっと顔を赤らめる直之を見つめる彼女の耳に あの男の言葉が蘇った。 『恋』って結局は、隠し切れないエゴじゃない。 そして、それを体感している那々は、どこもかしこもが小さく震えてくる。 那々は、そんな自分を抑えこむように大きく息を吸い込んだ。 「直之」 たった一つの深い呼吸が、にわかに彼女の声を取り戻させた。 「直之は、私のことどう思ってるの?」
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