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瞬時に、目の前の現実を質問攻めにしてから、ハッと我に返って
慌てて電話に出る。
「那々?」
聞こえてきたのは、どこか元気のない直之の声。
「うん。何かあった?」
しかし、つい零れ出てしまった言葉に、一瞬、那々は顔をしかめた。
だが、沈み気味の直之の声は、特にそれを気にする風もなく頷く。
「うん。っていうか、その……、ちょっと那々に会いたいんだ」
えっ?!
彼の口から初めて聞く言葉に、思わず一瞬、言葉に詰まる。
しかし直之は、更に彼女から声までも奪うような事を口にしてきた。
「あの、俺、今度の金曜の夜から
三日間のフィールドワークにまた出るんだ。
でもその前に、どうしても那々に会いたくて……」
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