第8章  流れの行方(続き)

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しかしそれに構わず、立花は続けた。 「あの男は、俺たちの大学からの友達。 入江 謙悟っていうプロのカメラマンで、 一年の大半は世界中のどこかに行ってる。 で、フラッと戻って来ちゃ、なぜか友達の所に居候を決め込む変なヤツでさ。 俺も独身だった頃は、よく2~3ヶ月くらい居付かれたもんだよ」 そうなんだ。 だが、素直に頷きかけた自分の裏側で、 もう一人の自分が「あれ?」と首を傾げる。 だけど私、彼らのキスシーンを目撃したんだけど。 「あっ、でも私……」 しかし、これは被さるように重なった立花のしんみりした声に、 挟んだ言葉は、そのまま途切れた。 「それに朝比奈は、たぶん結構辛い恋をしてると思う」
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