第8章  流れの行方(続き)

7/9
前へ
/38ページ
次へ
「えっ……?」 今まで見たこともない、 どこか切なく、辛そうな立花の面持ちに、那々は思わず言葉を呑んだ。 しかし、彼女の様子など気付かぬかに、彼は、まるで独り言のように言う。 「たぶんアイツは、ひどい恋の失くし方をしたか、 届かない想いを、ずっと抱いてる」 しかしここまで呟くように言って、ハッと我に返った立花が すごく決まり悪そうに苦笑した。 「あぁ、って言っても、単に俺がそう感じるってだけだけどね」 しかし、「だけど」と言った目の前の立花に、 再び、あの辛そうなものが浮かんだ。 「あれで朝比奈は、結構、純粋なヤツなんだよ。誤解され易いけどね」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加