第8章  流れの行方(続き)

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珍しく熱心に誘われた上に、 週末の予定などなく、那々のアパートからは月も見えない。 そしてやっぱり、なんとなくあの撮影の日以来、 あのデザイナーが、彼女の中で妙な引っ掛かり方をし続けている。 だから、 「あの、私も、お邪魔していいのでしょうか」 おずおずと答えらしきものを口にした那々の目の前で、 人の好い上司は大きな笑顔になった。 「お邪魔なんて、とんでもない。アイツら、絶対に喜ぶよ」 えっ? アイツらって、朝比奈さんもってこと……? しかし、これは尋ねる間もなく、立花のデスクの電話が鳴りだした。
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