前編

3/4
前へ
/8ページ
次へ
なんということだ! ほつれた糸が引っ張られたように垂れ下がっている みっともない所を見られてしまった。 「参ったな……。これから来客だというのに」 「差し出がましいようですが、もしよかったらこれを使ってください」 「え?ああ、ありがとう」 東が差し出してくれたのは、裾上げテープだった。 「私も急なほつれの時に使ったりするので持ってました。これなら応急処置にはなりますから」 「じゃあ、ありがたく使わせてもらうよ」 俺は彼女の好意を素直に受けることにした。 「お役に立てて良かったです。それでは私はこれで失礼します」 軽くお辞儀をして彼女は去っていった。 「管理部の東、か」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加