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東に須藤コーポレーションが試作中の多機能ペンを預けていたのだが、そのペンに録音機能がついてることを説明していなかった。
録音のスイッチについても話してないし、盗聴目的なんかじゃなかった。
しかし、そのペンを返してもらい念のためになにか録音されていないか確かめると、2人の会話が微かに聞こえてきたのだ。
それをあたかも東から相談されたようなフリして荻窪を揺さぶってみたが特に効果はなかったようで、結局は空振りだったわけだ。
「別にもういいですよ。俺もう会社に戻らないといけないんで」
席を立って店を出ようとした荻窪につい言ってしまった。
「こっちに帰ってきたのならさっさと結婚しちまえよ。グズグズしてるんだったら俺が……」
「それは俺たちが決めることだ。アンタには関係ない。誰にもやらねえよ。奈央には俺だけしか見えてないらしいからな」
「もう会うこともないだろうから最後に元上司として忠告しといてやるよ。気に入らない後輩や部下がいても妬んだりパワハラしたりするなよ?俺みたいになりたくなかったらな」
「ふうん、成程。やっぱりそうだったんですね。ご忠告、真摯に受け止めておきますよ。だけど俺はアンタみたいにはならない。ではお元気で」
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