イチ:サカクラ マツリ

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”教室”とだけ言われ理解できたのは、メッセージの相手がクラスメイトであるためだ。 「ミナミちゃん、おまたせ」 世間的には中の上といったルックスの女子。にこ、と可愛らしく微笑んだ彼女は俺に近づきそっと抱きつく。 「帰る途中だった?ごめんね。」 「ううん。構わないよ。どうしたの?なにかあった?」 「……分かってるくせに。」 彼女はそういうと、俺の首に腕を回しそっと唇を重ねてきた。 拒むことはせずそのまま受け入れる。 この子は恋人、ではない。 カラダのつながりをもつ、というだけの存在。 ……俺の欠点は、性格の裏表と もうひとつはこれかもしれない。 男女の関係において、 自覚するほどだらしがない。 本命は作らず、俺を好いてくれる子とこういったことをしている。 だらしがないとはいえ、これを悪いことだとは認識していない。誰一人として傷つけたくないと思った故の最善策。 …………そう、 自分に言い聞かせている。 本音は……、 この関係が俺にとって一番居心地も都合も良い。恋人を作るなど面倒なことはしたくないのだ。
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