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”教室”とだけ言われ理解できたのは、メッセージの相手がクラスメイトであるためだ。
「ミナミちゃん、おまたせ」
世間的には中の上といったルックスの女子。にこ、と可愛らしく微笑んだ彼女は俺に近づきそっと抱きつく。
「帰る途中だった?ごめんね。」
「ううん。構わないよ。どうしたの?なにかあった?」
「……分かってるくせに。」
彼女はそういうと、俺の首に腕を回しそっと唇を重ねてきた。
拒むことはせずそのまま受け入れる。
この子は恋人、ではない。
カラダのつながりをもつ、というだけの存在。
……俺の欠点は、性格の裏表と
もうひとつはこれかもしれない。
男女の関係において、
自覚するほどだらしがない。
本命は作らず、俺を好いてくれる子とこういったことをしている。
だらしがないとはいえ、これを悪いことだとは認識していない。誰一人として傷つけたくないと思った故の最善策。
…………そう、
自分に言い聞かせている。
本音は……、
この関係が俺にとって一番居心地も都合も良い。恋人を作るなど面倒なことはしたくないのだ。
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