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「…シュウナ、遅いな」
菓子を取りに行くだけなら10分もかからず帰ってこれるはずだが、シュウナが出て行ってから30分は経過している。
シュウナのことだ。ふらっとどこかへ寄り道をしている可能性もある。
いつもであれば、そう思えた。
だが、今日は……
俺はマツリの裏の顔を見たことがある。裏の顔というほど大げさなものではないが、よく女をとっかえひっかえしていることを知っている。
現場を見たこともある。
部室で行為をしていたのだ。
部活のない日に、なんとなく部室に寄ったところたまたま目撃してしまった。
マツリはへらへらとしたまま
「内緒ね。」と口にした。
もちろん、誰かに言うつもりはない。
マツリについて、悪い噂は聞かない。だからそれを見たときは意外だった。
こいつにもこういう一面があるんだ、人間くさくて良いじゃないか。むしろそう思った。
俺が行為の現場目撃してからマツリに対する不信感のようなものは消え、むしろ人としての親近感がわいた。
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