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マツリもそんな俺を察したように、それからは少しだけ親しくなった。
彼女を作らない理由も、セフレをたくさん作っているのも、様々な話を俺にだけに話してくれた。
2年間で一番距離を縮めたのはマツリだろう。
マツリはシュウナの名前をよく口にする。
「今日ね、シュウナが後ろから追いかけてきたの。それでわざと早歩きしたらシュウナ転んじゃってさ。…泣きそうになってたの可愛かったな~~」
「一緒に帰ろう、って言ってきたから待ってたの。でもなかなか来ないから様子見に行ったら蝶々に見惚れてて。あれなんなんだろうね?なにが面白いんだろう」
……他愛もない、シュウナの行動を事細かに伝えてくる。
そんなある日、
「シュウナって、なんか動くのも喋るのもノロいし、たまに変だけど あれは昔からなの?」
こう問いかけてきた。
マツリなら言ってもいいか、そう思った。少し濁しながらシュウナについて俺の知っていることを伝える。
「ああ昔からだ。小学生の頃からあまり成長していないように見える。シュウナは、少しだけ人より成長が遅い。知能も…」
ここまで言うとマツリはいままで見せたことのない気持ち悪いほど綺麗な笑みを浮かべ
「へえ…。可愛いね。」
そう言った。
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