36人が本棚に入れています
本棚に追加
-----
時はさかのぼり、20××年 4月。
俺がマツリを初めて見たのは高校の入学式。
「ーー新入生代表、坂倉茉李(サカクラマツリ)……」
彼は一際目立つ存在だった。
人目を惹く長身に、スラッと伸びた長い手脚。非の打ち所のない顔立ち。
そして、新入生代表の肩書き。
それは入試の成績が学年トップであることを示し、”完璧”を印象付けるには十分だった。
マツリの挨拶が講堂に響く。
堂々としたその態度、1ミリも緊張が浮かばぬ爽やかな表情は同じ人間なのか?と疑いたくなる。
その完璧すぎる様を眺め
俺の隣に座る幼なじみのシュウナは呟いた。
『いいなぁ……』
「なにがだ?」
『……ん?』
「いや、なんでもない」
俺の聞き間違いだったのか……
シュウナは首を傾げポカンとした表情でこちらを見つめる。
無意識……?
いやでも………
シュウナはたしかにマツリを羨んだのだ。
最初のコメントを投稿しよう!