ゼロ:プロローグ

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----- 時はさかのぼり、20××年 4月。 俺がマツリを初めて見たのは高校の入学式。 「ーー新入生代表、坂倉茉李(サカクラマツリ)……」 彼は一際目立つ存在だった。 人目を惹く長身に、スラッと伸びた長い手脚。非の打ち所のない顔立ち。 そして、新入生代表の肩書き。 それは入試の成績が学年トップであることを示し、”完璧”を印象付けるには十分だった。 マツリの挨拶が講堂に響く。 堂々としたその態度、1ミリも緊張が浮かばぬ爽やかな表情は同じ人間なのか?と疑いたくなる。 その完璧すぎる様を眺め 俺の隣に座る幼なじみのシュウナは呟いた。 『いいなぁ……』 「なにがだ?」 『……ん?』 「いや、なんでもない」 俺の聞き間違いだったのか…… シュウナは首を傾げポカンとした表情でこちらを見つめる。 無意識……? いやでも……… シュウナはたしかにマツリを羨んだのだ。
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