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放課後、数人の友人と挨拶を交わし部活動に向かうため廊下に出る。
「マツリ……!」
たたたっ……という足音のあと、ばふっと音を立て小さな衝撃が俺のカラダに伝わる。
俺が突然足を止めたため、名前を呼んだ人物は俺の背に衝突したのだ。
「…ぃ、た……」
振り返ると赤くなった鼻を手で押さえ、シュウナが俺を見上げる。
「ははっ、ごめんわざと」
そういうとシュウナは眉を寄せむくっと頬を膨らます。
20㎝以上の差はあるだろうか、
頭のてっぺんが覗けるほど身長差のある小柄なシュウナのふわふわした髪の毛をぽんぽんと撫でる。
「ごめんって。どうしたの?なにかあった?」
「ううん…、マツリがいたから…」
いつものか、と思い微笑みかけるとシュウナの手を取り歩き出す。
シュウナの行動は不可解なものが多い。俺からしてみたら全く無駄なもの。はじめは慣れず困惑したが、それも2年も経つと慣れてしまった。
シュウナは歩くのが遅い。そして、目を離すとすぐにどこかへ行ってしまう。
握り返されることのない手を優しく引きながら部室へと向かう。
「どこ行くの……?」
「部室だよ、今日は火曜日だからね」
「そっか…」
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