鏡 ハジメ:殺戮の日々 序章

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各国の大きな暴動から7日後(7月28日)の事だ。 その日、俺(鏡 ハジメ)は休暇を寝て満喫する予定だった。だが、脳が痺れるような違和感を感じ目が覚めてしまった。 風邪かと思い額に手を当ててみたが熱がある訳でもない。何故か意識がぼんやりして今どうしたらいいか考えがまとまらない。 「クソッ」唐突にイライラが込み上げる。 そんな自分に違和感を感じた。こんな些細な事で苛立つとは思えなかった。しかし、今のぼんやりとした頭では分からなかった。 目覚めてから少し時間が経ち時計の針が昼の12時を指した頃、変化を感じた。 痺れがノイズに変わり始める。ノイズはラジオのノイズに似てザザザッザザザッ……!!っと不快な音をしていた。 ノイズに混じり人の声が徐々に流れ始め、ラジオの周波数を合わせるようにノイズとクリアを繰り返していた。 そこから聴こえる声はゾッとする程低く、人ならぬ威圧感があった。 その声は殺伐と告げていた。 「……不完全な神が告げる。君らは増えすぎた。故に選別をはじめる。選別のルールは簡単だ、目が合った者を殺せ。尚、使用するのは己の肉体と刃物、鈍器のみだ。それ以外の武器は世界から消えてもらう。では、選別を始めよう……」 2、3度聴こえた声が何を意味していたのか、何が言いたかったのか、今の自分には理解できなかった。 まだ、夢の中だろうか?と考えを巡らせたがやめた。 今は時刻は12時半を過ぎ、我が家では食卓に料理が並ぶ頃合いだった。俺は2階の個室を出て階段を降りる。 階段を降りる途中で慣れない匂いを感じた。それは不快な鉄の匂、リビングに近付くにつれ匂いは濃さを増していた。 リビングのドアが視界に入る。ドアにハメられたガラスが不可解な赤い光を放っている事に気が付いた。
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