0人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしました!?乙葉さん!」
「こ、これ・・・。」
彼女は封を開いている手紙を指差した。
坂本がそれを取り、中を見るとまたしてもカッターの刃と1枚の手紙が入っていた。
「なんで・・・。今回はすべてチェックさせた筈なのに!」
坂本は取り乱しているようだ。
手紙の内容は、新聞の文字を切り貼りして書かれているようだった。
『歌手を引退しろ。さもなくばお前を殺す。』
「誰が・・・誰がこんなことを・・・。」
涙目で怯えている。
「大丈夫、乙葉ちゃん落ち着いて。これから仕事だからメイクを一回直そう。」
落ち着いた坂本が催促する。
これに俺は少し腹が立った。
「坂本さん!こんな時でも仕事ですか?こんなに怯えているんです!休ませてあげてもいいでしょう!」
「いいんです。私もこれでもプロの歌手です。こんな事にヘコ垂れて仕事を投げ出す事はできません。それに休んでちゃこの犯人の思うツボですもんね。」
「乙葉さん。」
こんなに頑張ってる子を辞めさせようとしてるなんて、何が目的なんだろう。
「準備お願いしまーす!」
番組のADが乙葉を呼びに来た。
メイクを直すと表情を明るくさせて楽屋を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!