よろず屋桃ちゃん

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昔話。 それは昔から言い伝えられている先人達の逸話。 小さい頃から絵本で読み聞かせられてきたものだ。 本当かどうか、誰しも考えたことがあるだろう。 でも俺は信じている。 と言うよりも信じざるを得ない。 なぜなら俺は、桃太郎の子孫だからだ。 小さな頃からお母さんに私たちの先祖はこの絵本の主人公、桃太郎なのよと言い聞かせられてきた。 実際に桃太郎が鬼退治へ行く時に持っていた日本刀が我が家の家宝。 俺の名前は渡辺桃太(わたなべとうた)。 25才。 職業はよろず屋桃ちゃんのオーナー。 従業員は・・・。 「桃ちゃんお疲れ!駅前にオープンしたケーキ屋のシュークリーム買ってきたよ!食べる?」 「俺が甘いもの食べないこと知ってるだろう。」 「そうだっけ?んじゃ全部いただきまーす。」 事務所に顔を出しては甘いものばかりを食べているこいつただ1人。 桜井勝(さくらいまさる)。 年中ファー付きの上着を羽織っている。 ただ遊びに来ているようにしか見えない。 たまには仕事を持ってきてくれよ・・・。 人懐っこいところはたまに仕事の役には立つんだけどね。 「くんくんっ。女の人の匂いするね。きっつい香水だなー!おばさんでしょこれ。お客さんでも来てたの?」
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