よろず屋桃ちゃん

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「流石は桃太郎のお供、犬の子孫。仕事の依頼があったんだ。って言ってもまた猫探しだけどね。」 「またかー。面白い仕事の依頼なんか入らないの?」 そう、こいつは犬の子孫。 何故人間なのか、詳しくは知らない。 犬以上の嗅覚を持つ。 「まあそう言うな。猫探しだって立派な仕事だぞー。頼んだぞ!ポチ!」 報酬金の入った薄い封筒を差し出す。 「チンケだなー。その猫の匂いあるんだろうね?」 「ああ、この首輪だ。前に付けてたやつらしいが、匂いは残ってるか?」 鼻をヒクヒクさせながら匂いを嗅ぐとニヤリと笑った。 「充分残ってる。今日中には見つけて帰ってくるよ!行ってきまーす。」 文句を言ってたわりにはすぐに出掛けて行った。 よろず屋に入ってくる仕事の大抵は猫探しや無くし物探し。 面白そうだからという理由で始めたよろず屋だったが、そろそろ辞めようかな・・・。 ーよろず屋桃ちゃん事務所(昼)ー 椅子に腰を下ろしタバコを取り出して火を付けようとした時、扉にノックの音がした。 「はいはーい。」 ドアを開けるとそこには髪の長い若い女性が立っていた。 「お仕事の依頼でしょうか?」 コクッと頷く。 「では中でお伺い致します。こちらの椅子にお掛けになってお待ちください。」
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