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ーよろず屋桃ちゃん事務所(夕)ー
「ただいまー!はい、猫連れてきたよ!」
暗くなる前に帰ってきた。
勝の顔は猫の引っ掻き傷でボロボロだ。
「ん?ああ、ご苦労さん。明日依頼主に連絡を入れよう。」
保護用のカゴに猫を入れると一息ついて冷蔵庫を開ける。
「さあ、食べよーっと。・・・あれ?ない!ちょっと、シュークリーム無くなってるんだけど?!」
「あぁ、客人に出したよ。」
「えーー!」
酷い慌て様だ。
ボサボサの髪の毛が逆立っている。
「なんで食べさせちゃったのさ!」
「まあまあそう言うな。依頼だ。それも大きな仕事のな!」
「え?」
ベソをかいている勝に今回の依頼の説明をした。
依頼人の名前は城戸乙葉(きどおとは)20才。
職業は歌手。
ファンレターに紛れ込んでいたカッターの刃が入った殺害予告の手紙を見つけ、怯えた彼女は犯人を見つけ出して欲しいと依頼。
あまり騒ぎ立てたくはない為、警察ではなくよろず屋桃ちゃんを訪ねた。
「報酬は300万円!やるか?」
「300万?!やるよ、とーぜん!」
すっかりシュークリームのことは忘れている様だ。
「じゃあ早速明日から取り掛かるぞ!」
「イエッサー!」
尻尾を振っている犬の様に見えた。
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