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「先生、私行きます。」
あの体育の日から一週間ずっと美優から話しかけられても無視してた。
だからこそ今度は無視なんかしないで美優の話を聞きたい
そして無視していたことを謝りたい。
それでもしできたら、友達になりたい――
「ここ…かな?」
先生に渡された住所でたどり着いたのは洋館風のレストラン
「あ……」
お医者さんにまだ無理しちゃ駄目って言われていたのに――
たくさん歩いちゃったからクラクラする…
「………ごめんね、美優。」
本当は一匹狼なんて寂しくて私も友達がほしかったんだ
美優みたいに優しい友達――
「……大丈夫?」
「え…?」
目を開けると目や髪の毛は黒だけど、肌の白さや顔のパーツが整っていて王子様みたいな男の子が流した涙をぬぐってくれていた
「だ、誰!?」
「おじちゃん、おばちゃん!気がついたよ!」
目の前にいる男の子は私の質問は無視して「おじさん」と「おばさん」を呼んだ。
「よかった、気がついて~気分は大丈夫?」
「あ…はい、大丈夫です。」
おばさんと呼ばれていた人の顔を見てすぐにわかった。
小さい体や丸い目、笑顔が美優にそっくり…
「ヒロ君が外にあなたが倒れてるって運んで来てくれたのよ。あ、ご両親に連絡して迎えに来てもらいましょうね。」
「大丈夫です…共働きで家にはまだいないと思うので…」
私が入院していたときのお金や通院のお金がいるからって母親もフルで働いている。
「じゃあ、俺が送るよ。」
「でも…」
「大丈夫だよ、おばちゃん。それにおばちゃんは美優のそばにいてあげて。」
「あ…!あのこれ…今日はこのプリントを美優さんに渡しにきたんです。」
「あら…ありがとう。美優にお礼言わせたいんだけどあの子熱があって…必ず渡しておくわね、このプリント。本当にありがとう。」
美優のお母さんの優しい笑顔に心が押しつぶされそうになる…
私美優を傷つけてしまったのに…無視しちゃってたのに…
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