第1章

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たぶんだけど、美里ちゃんがあれから断り続けたのかもしれない。 俺も含めて3人で、と誘って俺を強制的に後ではぶく予定なんだろうな。 まったく奥さん居るのに、意地きたねえオッサンだよ。 しかし、美里ちゃんは怖いくらいの硬い表情で辻本さんの誘いを突っぱねた。 「申し訳ありません。奥様が居る方とは、軽々しくお約束出来かねます」 辻本さんはアッパーを食らったように頭が揺れた。 「あ……そうですね、分かりました」 今まで振られた経験が少ないのか、そのまま彼は少し失礼します、と席を外すと、俺は彼の代わりに一つ案を出した。 「こちらの担当を別の者に引き継ぎます。小野寺さんも、その方が何かとやりやすいでしょう」 ホテル側の大失態。 ブライダル雑誌の担当の2人が嫌われちまったからね。 引き継ぎをしたばかりの美里ちゃんが変えられるよりその方がいいだろう。 少しばかり、俺たちの印象は悪くなると思うけど。 そう考えての案なのに、それも彼女は突っぱねた。 「いえ。大丈夫です」 「……そうですか」
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