第1章

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はっきり言って、ここまで付いてきた彼女に我慢するつもりはなかった。 だから、美里ちゃんが寝室の襖を開けた時、後ろから彼女を抱き締めた。 突然の俺の行動に、彼女が体を硬直させたのが分かった。 「……辻本さんと、本当に何も無かった?」 俺の問いかけに、美里ちゃんはぎこちなく首を縦に振る。 さっきまで、別の男に抱かれようとしてたんだよな。 なのに、のこのことアパートまで付いて来やがって。 これが嫉妬なのか、侮蔑なのか、自分でも判断出来ない。目の前の細い首を、唇の表面だけで味わうと、美里ちゃんの首はほのかに桃色に色づきはじめる。 「好きだったよね? 辻本さんの事」 また、彼女は首を縦に振る行為を繰り返した。 「子供の頃、俺が美里ちゃんを突き飛ばして怪我させちまった事、覚えてる? ……あの時の傷って、まだあるの?」 そう聞きながら、彼女のシャツのボタンを外すと、美里ちゃんは慌てて俺の手を抑えた。 「わ、渉君、私そういうつもりで来たんじゃ……」 そういうつもり? じゃあどういうつもりだよ。 緊張しているのか、彼女の手が震えてる。 それに気付きながらも、俺は美里ちゃんのシャツを大きくはだけさせて、肩甲骨まで肌を露出させた。 「……痕、残っちまったな」 彼女の白い背中に、引きつったような小さな傷痕。 指でそっと撫でると、美里ちゃんは背中を反らした。 その反応を見て今度は背中に唇を這わせてみると、彼女の口から小さな呻き声が溢れた。
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