第1章

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それから、美里ちゃんが営業でホテルに来ても、俺は業務以外の接触は避けた。 向こうは、まぁ。 あたり前だよな。 目が合うとイラついた怒り顏で目を逸らす。 仕方ない。 辻本さんはと言うと、彼女の前でも指輪は外さない様になった。 ばれちまったら隠す必要もねえしな。 時たま俺が席を外すと辻本さんはコソコソ美里ちゃんに話しかけているようだけど、あとは本人がどうするかだ。 守る、なんて大それた事を考えた訳じゃない。 たぶん、彼女の背中の傷痕を辻本さんに触れられるのが嫌だったんだ。 それから、何回目か覚えてない。 美里ちゃんがまた訪れた時、辻本さんが急に話題を振った。 「だいぶ打ち合わせも進んできましたし、一度お食事でもどうです?……以前は私の用事で参加できませんでしたが、小林と食事をされたようで」 チラリと横目で俺を見る辻本さんは、笑顔は薄く残しているけど目は何かを疑っている。 アンタじゃないんだから、ガツガツ手なんか出してねぇよ。いや、出したのかな?
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