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大ゲンカをしたんだ。
そして、つい俺は美里ちゃんを突き飛ばした。
すると、美里ちゃんは後ろの壁にあたって、肩甲骨の辺りから血を流した。
たまたまそこに錆びた釘が飛び出ていたんだ。
そこからばい菌が入って、美里ちゃんは高熱を出した。
俺は泣きながら、美里ちゃんに謝ったんだ。
「ごめんね……ごめんね。美里ちゃんの傷が治らなかったら、僕が治すから……」
ーーーー夜明け前、子供の頃の夢を見た。
美里ちゃん、て誰だっけ。
子供の言葉って、無謀でオソロシイ。
枕元のスマホをのぞくとまだ四時だ。
オンラインゲームの寝落ちしたままの画面を消すと、真っ黒な画面にむさ苦しい俺の顔が映った。
目も冴えてしまったから、とりあえずコーヒーを淹れる為に湯を沸かす。
そのままシンクに寄りかかり、ラス1のタバコに火を付けて深く吸い込むと寝起きの頭がフワッとした。
ーーあ、思い出した。
美里ちゃん。
小さい頃、同じアパートに住んでた女の子だ。
たしか、2つ年上の女の子。
両親が家を建てて俺たち家族がアパートを離れるまで、ずっと一緒に遊んでいた。
そして、もう一つ思い出した。
こんな夢を見た訳は、昨日、営業で来た女性。
彼女が、美里ちゃんだった。
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