第1章

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大ゲンカをしたんだ。 そして、つい俺は美里ちゃんを突き飛ばした。 すると、美里ちゃんは後ろの壁にあたって、肩甲骨の辺りから血を流した。 たまたまそこに錆びた釘が飛び出ていたんだ。 そこからばい菌が入って、美里ちゃんは高熱を出した。 俺は泣きながら、美里ちゃんに謝ったんだ。 「ごめんね……ごめんね。美里ちゃんの傷が治らなかったら、僕が治すから……」 ーーーー夜明け前、子供の頃の夢を見た。 美里ちゃん、て誰だっけ。 子供の言葉って、無謀でオソロシイ。 枕元のスマホをのぞくとまだ四時だ。 オンラインゲームの寝落ちしたままの画面を消すと、真っ黒な画面にむさ苦しい俺の顔が映った。 目も冴えてしまったから、とりあえずコーヒーを淹れる為に湯を沸かす。 そのままシンクに寄りかかり、ラス1のタバコに火を付けて深く吸い込むと寝起きの頭がフワッとした。 ーーあ、思い出した。 美里ちゃん。 小さい頃、同じアパートに住んでた女の子だ。 たしか、2つ年上の女の子。 両親が家を建てて俺たち家族がアパートを離れるまで、ずっと一緒に遊んでいた。 そして、もう一つ思い出した。 こんな夢を見た訳は、昨日、営業で来た女性。 彼女が、美里ちゃんだった。
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