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アキはあたしがジュンタからその話を聞いてるって知らない筈だし。でも、あれを赦したんだから、どんだけ甘いか推して知るべしである。あたしだったら半殺しの目に遭わせてるよ。
「ジュンタさんもここに帰って来るってことですよね?」
「そうみたいだね。あたしはあんなの要らね。まぁでも、なかなか死なないみたいだね。未だに来ないし」
それでもこの場所の時間感覚はやっぱり現世とはだいぶ違う。数年とかはあっと言う間だ。というより、上手く表現できないが「時間なんてものはない」って感覚。現世では、なずなが死んでからあたしが死ぬまで何年か間があったが、ここで待ってるアキとタツルには大した時間でもなかったに違いない。
まぁ人目がない状況でひたすらいちゃいちゃしていただろうから、まさに無時間、永遠にこれが続けばいいと思ってたに決まってるけど。
アキはのんびりした口調で言った。
「友明にも亡くなる前に会いに言った方がいいのかなぁ。なんか、ひどいことした気がするし」
「ちゃんと振ってるんだからそこまで責任感じることないでしょ。自業自得だよ。それにどうせここにジュンタになって戻って来るんだからさ、その時話せばいいでしょ。それよりつむぎと野上にちゃんと会いに行きなよ」
アキは肩を竦めた。
「行きますよ。あと、まりさにも」
「『野上に手を出すな』って?釘刺しときなよ、あんな綺麗な子だしさ」
「大丈夫だよそんなの。朱音大袈裟なんだから」
「そう言いつつ、本当に二人がどうにかなったら嫌なくせに」
なずなは眦を決して断言した。
「それは絶対嫌」
ほら見ろ。
絶対はっきりしないくせに、べた惚れなんだから。
「つむぎとまりさんとこは、近いうち行きます」
何故かきっぱりとなずなは言った。あたしは首を傾げる。
「野上は?」
「内緒。…もう少ししたら」
その表情からは特に何も窺えない。あたしは念を押すように畳み掛ける。
「あたしも野上んとこは行くつもりだから。…先に行っちゃうよ?」
なずなは素直に頷いた。
「大丈夫だよ。朱音、先に行ってて」
結論から言うと、なずなが結局野上にちゃんと会いに行ったことはしっかり確認できた。
説明が難しいが、こちらが出発する時点と、向こうがそのメッセージを受ける時点とは何の関係性もない。つまりどんなに遅く思い立っても、自分の死んだ直後だろうが一周忌だろうが三年後だろうが、好きな時点に会いに行くことができる。
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