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「最後に圭は私に約束を託し、初めて悔しそうに泣きました。俺が変わってやれるなら、代わりに死んでやりたいと何度も思いました。でも、圭は『僕の分まできっと笑顔で生きて、母と久美の支えになって』と最後は笑顔で亡くなりました」
お兄さんも目に涙を溜めながら、辛そうに言葉を切っている。
彼は私を忘れることなく、最後まで想い続けてくれていた。自分の命がなくなる瀬戸際まで。そんな彼に今の私の顔を見せれるだろうか…。
「こんな姿を見せたら圭に怒られますが、私は彼の分まで生きないといけません。笑顔はまだ出ませんが、沢山の日記の囲まれて頑張って生きています。だかた、あなたにも精一杯生きて欲しいと思ってます」
「お兄さん…お名前を教えてもらっていいですか」
「真也と言います」
お互いに大粒の涙を零しながら、お互いの顔を見合わせた。圭は小さい頃の約束を真也さんに託してまで守ろうとしてくれていた。
そして、逢っていたらきっと笑顔を忘れないでと又言われていただろう。
すぐには無理だけど、少しづつ頑張っていくしかない。私には時間があるのだから。
「今度…圭のお墓参りに連れて行って貰ってもいいですか?」
「……勿論です」
私の中の天使にもう逢う事は出来ないけど、ずっと綺麗なまま私の心で生き続けてくれる。
満面の笑みを浮かべて…だから、私もあの川辺で過ごした時のように笑顔を彼に見せて生きていきたい。
車の中の2人は雫のように涙が零れているけど、これからはあなたの笑顔に近づけるように、素敵な思い出を色あせてしまわせないように…圭に又約束をした。
「圭…私との約束守ってくれて本当に有難う」
涙を拭い、コーヒーを飲み干すと遠くの川の景色をボンヤリと眺めながらそう呟いていた。
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