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シーツ
「アリストテレスさん」
彼女が僕に呼び掛ける
困惑する僕を前に彼女は退屈そうに頬杖をついて
「あなたが哲学者になるのなら
私はマザーテレサにならなくてはいけないわ」
なぜマザーテレサなのか分からないけれど
ベッドからはがした白いシーツを
頭から顔を出して被り
彼女はシーツになる
シーツは言う
「別にナイチンゲールだって構わないのよ
だってあなたはアリストテレスではないもの
だから私だってマザーテレサでなくても構わない」
彼女が言わんとすることが僕にはよくわからない
「私のいうことが分からないのなら
私を哲学しなさい
アリストテレスさん
あなたはもっと私を知るべきだわ」
僕はシーツを哲学する為に
その上から抱きしめてみることにした。
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