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嫉妬する哲学者
僕は一体何故生きているのだろう
何も知らず 何も出来ず
ただ息をして 眠りにつく
何もないのなら
いっそのこと死んでしまおうかと思った
けれども
死がなにを意味するのか
分からなくなった
彼女は言った
「バカね
アリストテレスは偉大なんかじゃないわ
あなたの知っている哲学者のアリストテレスだって
ため息をついて涙を流し
嫉妬して地団駄を踏むただの人間なのよ
私みたいにね」
それからぎゅーっと
僕を抱きしめた
「きっとあなたの中の
アリストテレスは泣きたがっているんだわ」
そう言われてみると
そんな気もした
分からなかった心の中が
泣いているように思え始め
僕は白く震えるため息を
ふうっと空に吐き出した
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