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はじまり
「・・・で?おまえは一体何がしたいんだ?」
「『何がしたい』?フフン、愚問ですね。あなたを・・・辱めるんですよ」
身長154cm。
華奢、と形容されることの多い女の私に冷たく見下される、191cm、ガッチリとした筋肉質な大男。
ひとり暮らしの私の、1DKのマンションの室内。
その床に直接座り込み、だらしなく足を投げ出して。
自由の利かない体を動かそうと試みることすらも諦めたその姿は、何て無様なんだろう。
「驚きましたよ、楠(クスノキ)先輩。まさか私が・・・こんな能力を手に入れるなんて、ね」
「羽村(ハムラ)、テメエ・・・」
窓の外に広がるは、全てを飲み込んでしまいそうな夜空と満月。
ギリリ、と悔しそうに唇を噛み締める男。
ああ、こんな顔が見たかったの・・・。
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