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「カラオケ行こう!」 私は妹を遊びに誘った。彼女は、高校生らしく慣れた手付きで携帯電話をいじっていた。その画面から顔を上げ、そして言う。 「お金が無い。」 「奢るから「やった!」 その言葉を待ってましたとばかりに食い気味に答える。 5分ほどローカル線に揺られると、ターミナル駅に到着する。カラオケに行く途中の大通りに、ゲームセンターを見つける。その奥に、目がやたら大きいモデルの写真が見え、「メガ盛り!」の文字が重ねられている。 「ねぇ、プリクラ撮ろうよ!」 「え~、なんでお姉ちゃんと!」 「いいじゃん!」 久しぶりに見かけたその機械のほうへ、半ば引きずるように妹を連れていく。 硬貨が、チャリン、チャリン、チャリン、チャリン、と落ちる音がするやいなや、撮影の案内画面が始まった。パシャッ、パシャッと小気味良い音が続く。妹は遊びなれているもので、テンポ良くポーズを決めていく。初めは乗り気ではなかった様子だったが、テンションが上がってきているのが分かる。 あっという間に撮影が終わり、落書きブースへ移った。私にはこういうセンスは無いので、とりあえず簡単に飾れそうなスタンプを探す。ごてごてとボタンが並ぶ中に、「〇〇歴〇年」というスタンプを見つける。 「こんなスタンプあるんだ。」 それを見た妹が言う。 「私達は、『姉妹歴17年』だね!」 そうか。妹が生まれてから、私達は『姉妹』になったのだな。そう思うと不思議なものだ。彼女が生まれるまでは私は一人っ子だったのか。 彼女が生まれてきてくれてよかった、と思った。 …言わないけれど。
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