東京について

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「何かに夢中になったことってあるか?」 心の中ではせめぎ合っているいくつかのことがあったけど、求められている言葉は違うなと思って飲み込んだ。 「ない。」 「そうだよな。お前は・・・」 延々と続いていくであろうお説教を聞き流しながら、自分が最も傷付かない方法を探していた。 貴方の思い込みの中にいる私はどんな表情をしている? 反省?衝撃?不服? どれも違うことは、気づかなくても良いと思った。 私がどうか、同じことを他の誰かにしていませんように。 「だから何かはじめなさい。」 どうやら話はまとまったようだ。 「うん。」 曖昧に返事をしてみたけれど、私の中に、いま夢中という言葉は存在しない。 何にもしたくない。
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