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“ガシャ” カバンをおもむろにソファーへと投げ出すと、私は電気も点けずにヘナヘナとその場に座りこんだ。 ヒンヤリとしたフローリングの冷たさが伝わってきて、堪えきれない悔しさや悲しみがどんどん溢れてくる…… それは私の頬につたい、次第に流れを早めると、私はそのまま大声を上げてそれを吐き出した。 どのくらいたったのだろうか…… 寒い……暗い…… それの終結は思ったよりも単純な感情で終わった。 おそらくひとしきり泣いてみたことで、落ち着きを取り戻すことが出来たのだろう。 私は冷えた部屋に、両肩を抱きしめ立ち上がると、電気を点けエアコンのスイッチを入れる。 そしてその足で冷蔵庫から缶ビールを3つ取り出すと、その1つを開けそこで一気に飲み干した。 「はぁ~あ!もぅ、仕方ない!くよくよしてたって事態は変わらないんだから、とりあえず新天地で結果残して、また営企に返り咲いてやるわよっ!!……いくら遠回りしたって負けないんだからっ!」 そう口にすると、なぜだかまた涙が出そうになり、私は慌ててそれを拭うと、残り2つの缶ビールを手にソファーへと向かった。 するとカバンから少し顔を出した書類が目に入ってきた。 「そーいえば私、興奮してて異動先ちゃんと聞いてなかったな…」 私はそんな独り言を溢すと、諦めにも似た感情で、仕方なくそれを手にした。 “!!!” そして次の瞬間、異動先の文字を目に再びの衝撃を受ける。 「あのハゲオヤジ~!!何が栄転よぉ~!!」 そして私はそう叫ぶと共に手にした書類を力強く握りしめた。 私の手の中でくしゃくしゃになってしまった書類には綺麗な明朝体の文字が羅列してあった。 “相原 櫻、秘書室への異動を命ずる。”
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