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「ったく、これだから“ゆとり世代”は困るんだよ。だいたいね…」
都心にそびえ立つオフィスビルの大会議室。
件の会議はとっくに終わったというのに、私は夕陽に輝く課長の汗とにらみ合いながら、彼の説教を聞いていた。
「…と、言ったよね?あの時ちゃんと。僕が確認しなかったのは、時間がなかったからじゃない。君を信頼してたからこそ…」
はいはい。
良く言うよまったく…。
何が信頼ですか。
どくに資料に目を通しもしなかったくせに。
部長に指摘されたのを私のせいにしないでよね…。
「…聞いているのか!?相原!!」
「…はい。」
お飾りの上席の話しは半分に、とりあえずここから抜け出すために何度も形式的に「はい」を繰り返す。
そして、かれこれ20分はたっただろうか…。
そろそろ怒り疲れてきた課長は、やっと私を解放してくれる気になったようだ。
「失礼します。」
……バタン…。
重厚な扉を両手で閉める。
「ふぅ~~……っすーー…」
そして私は溜まったグレーな息を一気に吐き出すと、深く息を吸い込み扉を睨み付け、中の課長には聞こえない程の小さな声で心の声を吐き出した。
「この部長の飼い犬っ!文句ばっかり言いやがって!私がいなかったら資料の1つも作れなかったくせにっ!だいたいねぇ“ゆとり世代”バカにするんじゃないわよ!?ゆとりだろうがT大ストレートで行けるし、空手も合気道も黒帯なんだからね!ぜっったい、あんたをいつかギャフンと言わせてやるんだからっ!!」
一息にそういい終えると、幾分かスッキリした気分になり、私はようやく大会議室を後にした。
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