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“パシッ!”
「いたっ…」
数時間ぶりに座る自席で気を抜いていた矢先、頭に乾いた衝撃が走り、私は訝しげに振り返る。
「よっ!」
するとそこには、青いファイルを片手に私を見下ろす同期の工藤の姿があった。
「もう…何よ…そんなもので頭叩かないでよねぇ!?」
私は頭に手をあてがい、それで衝撃をもたらしたであろう元凶のファイルを睨んだ。
「んん?その様子だと、大分絞られたか?」
そんな私の様子に工藤は面白がるように口元に笑みを溢しながら、そう問う。
「あぁ~!やめて。今、その話しはしたくないわ…。」
私は工藤の問いにさっきの光景をぬぐい去るように、目を瞑りながら手を振ると、なんとも情けない声でそう返した。
「おいおい、なんだよ~。大崎課長のプロジェクトに選ばれて、あんなに喜んでたじゃないかよ…大丈夫か?」
私の反応が思ってもみなかったのか、工藤はしゃがみこむと私に視線を合わせるようにしてそう続けた。
「ん…。大丈夫……じゃない…かも?是非とも今後の指針の為にも“工藤プロジェクトマネージャー”のご意見を頂戴したい所だわ…」
だから私もそう素直に答えたつもりだったんだけど…
「からかうな。」
“パシッ”
再びファイルで頭を叩かれる私。
「俺のプロジェクトなんてお前の所と比べりゃ名ばかりなもんだろ。束ねてる人数も、案件の大きさも計上額もどれをとっても全然違うだろうよ…。俺がお前に教えられることなんか何もね~よ!」
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