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そんな私の熱弁に、副社長は顔を綻ばせると、1つ優しく頷き返してくれた。 「“Mr.J”…それで構わない。近しい者からはそう呼ばれている…」 そして、私にそう告げた。 “…Mr.J…” その許しに心の中でそう呟いてみる私。 すると何故だろう… 少し胸が苦しくなった気がした。 「では早速、こちらの約款に目を通し、こちらの誓約書にサインしてくれ…」 てきぱきと手にした書類をローテーブルに並べながら、ローレンツ様は段取りよく事を進めていく。 私はそれに小さく頷くと、革張りのソファにゆっくりと腰を沈め、並べられた書類に目を通した。 なになに…… “この契約は期を向かえた段階で解除とする”ね… ふむふむ…… “全ての見聞に関して他言無用”ね… うんうん…… …………… ………… その後、順調に約款を読み進めていく私。 しかし、第五項にさしかかったその時、衝撃は突如訪れた。 んんっ!? なんだこれぇ~~!! 「っな…っな…何なんですかこれ~!!??」 私はそう叫ぶと、自らの目を疑いながら約款に書かれてある文章を読み上げた。 「…乙は甲に公私共に支えるものとし、任務解除までは……」 しかし、そこまで読み進めると、私は次の文言に絶句し言葉を無くす。 「その生活の全てを甲と共にする。」 そして驚愕で固まる中、ローレンツ様はご丁寧にもその失われた言葉をさらりと代弁してくださった。
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