77人が本棚に入れています
本棚に追加
“流石だな…”
そんな吉井チーフに私はそう思いながら、エレベーターを降りる。
そしてそのまま副社長室へと向かう一向の後を追った。
「ローレンツ様…」
副社長室に入って間もなく、その扉が閉まったことを確認すると、吉井チーフは透かさずローレンツ様にそう声をかけた。
そしてそのまま二人はこちらに背を向けるようにして、吉井チーフが取り出した何かを見ながら、なにやら話をしている。
私はそんな二人をMr.Jのお側から視界に入れていた。
「どうした。ローレンツ…」
席に着くなりMr.Jはそんな二人に向けて口を開いた。
その言葉にローレンツ様はこちらに振り返ると、表情を険しいものにかえ、デスクまで近づいてきた。
「実は昨晩…このようなものが…」
“?封筒…?”
ローレンツ様は白い封筒を差し出しながらそう口にする。
するとMr.Jは何かを確認するようにローレンツ様の顔を1度しっかりと見据えると、黙ってその封筒を手にした。
そしてそのまま、手にした封筒を開けると中から漆黒のカードを取り出した。
そして、そのカードに目を落とした次の瞬間…
その表情を曇らせた。
「明日は外出なさらない方が…」
文面を確認したMr.Jに、すぐさま吉井チーフはそう声をかける。
「明日は他の者に行かせましょう。Miss.吉井、直ぐに明日出席できそうな重役のピックアップを。」
「ただちに。」
“えっ!?何?何が起こったの??”
私の目前で繰り広げられるただ事ではない事態に、私は部屋を去ろうとする吉井チーフの元まで駆け寄ると、慌てて事の次第を確認した。
最初のコメントを投稿しよう!