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“流石だな…” そんな吉井チーフに私はそう思いながら、エレベーターを降りる。 そしてそのまま副社長室へと向かう一向の後を追った。 「ローレンツ様…」 副社長室に入って間もなく、その扉が閉まったことを確認すると、吉井チーフは透かさずローレンツ様にそう声をかけた。 そしてそのまま二人はこちらに背を向けるようにして、吉井チーフが取り出した何かを見ながら、なにやら話をしている。 私はそんな二人をMr.Jのお側から視界に入れていた。 「どうした。ローレンツ…」 席に着くなりMr.Jはそんな二人に向けて口を開いた。 その言葉にローレンツ様はこちらに振り返ると、表情を険しいものにかえ、デスクまで近づいてきた。 「実は昨晩…このようなものが…」 “?封筒…?” ローレンツ様は白い封筒を差し出しながらそう口にする。 するとMr.Jは何かを確認するようにローレンツ様の顔を1度しっかりと見据えると、黙ってその封筒を手にした。 そしてそのまま、手にした封筒を開けると中から漆黒のカードを取り出した。 そして、そのカードに目を落とした次の瞬間… その表情を曇らせた。 「明日は外出なさらない方が…」 文面を確認したMr.Jに、すぐさま吉井チーフはそう声をかける。 「明日は他の者に行かせましょう。Miss.吉井、直ぐに明日出席できそうな重役のピックアップを。」 「ただちに。」 “えっ!?何?何が起こったの??” 私の目前で繰り広げられるただ事ではない事態に、私は部屋を去ろうとする吉井チーフの元まで駆け寄ると、慌てて事の次第を確認した。
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