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私はそう返すと、眉間にシワを寄せた顔を工藤に向けた。 「あっ!降りてきたわよ…。」 私達のそんなやり取りに構うことなく、由香は冷静にも黒塗りの車の状況を知らせる。 その声に導かれるように私達は会社の正面に停められた車に目を向けた。 すると、秘書と思しき数名が深々と頭を下げる中、ゆっくりと身を屈めて車の所有者が降りてきた。 「おっ!外人!?」 サラリとした金色の長髪をその目に、由香がそう声をもらす。 「そう言えば、最近新たに着任した副社長がイギリス系って聞いたな……。でもまぁ…珍しくもないだろ。世界各国に支店は有るんだから…」 由香の驚きに工藤はサラッとそう返す。 「!ちょっ!もうこんな時間!」 「「えっ!?」」 事の次第を見送っていた私達は、由香のその一言に腕時計を見て驚くと、慌ててオフィス目指して走り出した。 なんとかギリギリセーフでオフィスに入りはしたが、デスクに着く頃には始業のチャイムが鳴り出していた。 「あれぇ…?櫻さん。昨日と一緒の服じゃないんですね?」 「はいっ!?」 朝からまた汐莉が訳の分からない質問を投げかけてきた。 「え~?だってぇ、工藤先輩とご出勤だったんでぇ~♪」 「はいぃ~!?」 「私、昨晩もてっきりご一緒だったんだと~」 “はぁ~~” 朝から重たいため息が出る。 あの娘には一緒にいた由香は見えていないのだろうか…。 もういい。朝から面倒だから放っておこう。 私はそんな汐莉を無視すると、PCを立ち上げ仕事に入ることにした。
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