「ハイライト」

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「それと煙草、17番、ハイライト」  彼から発せられるその台詞をいつも待っている。  バイト先のコンビニに、平日は毎晩21時頃に来店するお客様。  弁当、もしくはカップラーメンとおにぎり1個。紙パックの1リットルの緑茶。時にはコーラや新製品のペットボトル飲料。100円のドリップコーヒー。木曜日には雑誌。  それから2、3日置きに買われる煙草。17番のハイライト。  100種類以上ある煙草の番号と銘柄と配置を全ては覚えられないけれど、これだけは強く覚えている。だって彼が吸っているから。  とりわけ美男子というわけでもなく、不快感を覚える顔でもないけど、さわやかさも別にない。でも何か気になる顔。あの顔だったら何時間でも眺めてられる。  煙草の番号を言う声も、財布の小銭を探る仕草も、みんな好ましく思えるのは。  俺が彼のことを好きになったからだ。
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