「ハイライト」

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 ガスが切れそうなライターの弱い火は、風に吹かれて上手く点かなくて、風よけになるふりをして、そっと距離を近づけた。何度かの挑戦の末にようやく点いて、お互い顔をほころばせる。  ゆっくりと優しく吸い込んで、ため息をつくように薄い煙を吐いていく。その一連の仕草が妙に艶かしくて。鼓動が早まる。 「君もハイライト吸ってるんだね」  そうだよ、君に影響されたんだよ。  言いたい言葉はたぶん言ってはいけない言葉で、言葉の代わりに煙を吐く。勢いに任せて強く吸って、顔だけがやたら熱くなっていく。  喫煙所には他にも人がいるのに、その中で俺を選んでくれた。同じ煙草を吸っているって知ってくれた。少しだけでも近づきたくてしたことが、今、自分の人生を変えてるって、わかる。
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