「ハイライト」

5/26
前へ
/26ページ
次へ
 最も重要で、最も明るい。そんな瞬間がこの先の俺の人生にやってくるのだろうか。この箱の色みたくブルーなのに。  そもそも、人生で最高の瞬間なんてものは、それが来た瞬間に今だってわかるようなものなのだろうか。  俺はとっくにその瞬間を、気付かない内に通り過ぎてしまったような気がする。  でもきっと、そんなものだろう。  深く柔らかな青に包まれたハイライトを、また1本咥える。使い捨てのライターはガスが切れそうで上手く火が点かない。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加