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入店のチャイムが鳴ると同時に条件反射で「いらっしゃいませ」と声が出る。雑誌の棚を整理しながら横目で入り口の方を見ると、彼だった。
今日は一日、宅配便を大量に持ち込まれたり、端末やコピー機のトラブルがあったりで、頭の中が沸き上がってすっかり疲れてしまっていたのに。思わずにやけてしまう。
彼を見ると、ほっとする。
アイドルの追っかけみたいだ。その人を見れば疲れが吹っ飛んでしまうような、そんな人。彼に会う為に働いてるってわけじゃないけど、バイトに行けば彼に会えるんだとは思う。
「年齢確認のタッチパネルを押していただけますか」
こんな事務的な言葉じゃなくて、もっと近づく為の会話をしたいのに。そんな隙もないし、きっと彼を驚かせてしまうだろう。
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