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開いた暗幕。
そして、ゆっくり現れたおじさん。
おじさんは、ステージの中央までやって来ると、被っていたシルクハットを胸に抱き、ゆっくりと、深々とお辞儀をした。
同時に、観客の期待が拍手となって溢れる。
ステージの上から観客の期待を一身に受けたおじさんは、たくさんの拍手に満足したようで、ニッコリと観客に微笑んだ。
そして、手にしたステッキを空中に放り投げると、一瞬で、ステッキは花束に変わった。
「わぁ~」
感嘆から漏れる声。
そして、沸き上がる惜しみ無い拍手。
そして、マジックショーは始まった。
ステージ上で次々に起こる魔法の数々。
その度に沸く歓声。
しかし、僕はそんな拍手すら忘れ、羨望の眼差しを向けていた。
魔法使いだ。
本物の魔法使いがいる。
奇術という名の魔法は、僕を一瞬で虜にした。
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